冬の喝采 黒木亮 を読んで

黒木亮さんを初めて意識したのは、私が鉄鋼会社の新入社員だった十数年前。アラブ語、その他の言語を勉強する姿が、雑誌の記事になってまして(日経ビジネスだったか?)、凄い人がいるものだと感じ入りました。

月日は流れて、帰国後に日経ビジネスオンラインを読んでいたらば、駅伝か何かの記事で、あ、あの黒木さんだと十数年前の記憶が甦り、「冬の喝采」は必読書となったのです。

購入したのは良かったのですが、大作なので、なかなか読む機会がなかった。今回、病気の暇な時間に読み始めると、はまりました。「冬の喝采」は少年が大人になる姿を描いた青春傑作ノンフィクションだと思います。フィクションかノンフィクションかわかりませんが、自伝的ノンフィクションだと理解しています。

私にとって、黒木さんは、自制心と克己心と情熱を兼ね備えた完璧に近い人というイメージだったのですが、この本に描かれる著者は、悩み、苦悩、迷いもある、ある意味普通の少年です。しかし、普通の少年から脱皮して、特別な大人へ成長出来たのは、本人の資質と努力もさることながら、瀬古選手、中村監督、その他との出会いがあったからだと思います。

私が憧れ続けていたのは、実は軟派ではなく硬派だったのかと思う程、硬派の魅力が描かれていると思います。心に深く印象を残す、運命的な本でした。

冬の喝采

冬の喝采